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Monday, December 19, 2016

【重要】辺野古埋め立て「違法確認訴訟」最高裁で県が敗訴しても知事は判決を理由に埋立承認取消を取り消すことはできません/させてはいけません―元裁判官仲宗根勇氏との問答 Govenor Onaga cannot/must not cancel his Henoko reclamation permit cancellation using the Supreme Court decision against him

沖縄の元裁判官で連日高江や辺野古の現場で基地建設に抵抗してきている仲宗根勇(なかそね・いさむ)氏と、9月16日の辺野古埋め立て「違法確認訴訟」高裁判決直後に仲宗根氏が高江で行ったスピーチと、私とのQ&Aをまとめたこの原稿の問題意識を広く知ってもらおうと発表の場を探していたが、「敗訴」と決まっている最高裁判決が目前となり、一刻の猶予もない状況になってきたのでこのブログに発表する。

自分で自分を引用するが仲宗根さんに話をきいて最後にこうまとめた。
今までのお話をまとめていうと違法確認訴訟が確定してもその判決に執行力はなく、代執行訴訟で国が勝たなければ工事再開はできないということを県、県弁護団、識者、マスコミがしっかり認識し県民、国民に理解を広めることですね。さらに、仲宗根さんとして県知事に勧告するのは、本当に「あらゆる手段」で基地を阻止するのなら、違法確認訴訟のときにはしなかった裁判官忌避を代執行訴訟の冒頭で行うこと、そして同時に埋立承認撤回をすることですね。
以下、どうぞ。

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2016年9月16日の辺野古埋立「違法確認訴訟」高裁判決翌日17日、高江N1ゲート前での行動における仲宗根勇氏(元裁判官、うるま市具志川9条の会・うるま市島ぐるみ会議各共同代表)の挨拶のまとめ:

私が100%予想した通りの判決理由と主文です。少し専門的な話をしますが、判決というのは二つの部分で構成されています。一つは判決主文。判決主文は1「国の是正指示に従わないのは違法であることを確認する」と2「訴訟費用は被告が負担」というものです。これを判決主文という。主文だけ言って、判決理由は「別紙のとおり」と言うであろう、合計2-3分で判決言渡しは終わるだろうと私は仲間に言っていたがその通りになった。もう一つの部分が、判決理由。主文を導くための理由付けを記載します。「判決理由」には既判力はなく「主文」にだけに既判力がある。既判力というのはその後の両当事者の裁判において前にした裁判が効力を有することを「既判力を有する」というのです。民事訴訟法114条では「主文のみが既判力を有する」となっている。(注:民事訴訟法114条条文:1.確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。2.相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。)

昨日の判決理由は国の言い分をそのまま認めたものでありますが、われわれは何ら動揺することもない。あれには既判力はない。本来既判力のない判決理由にその既判力をもたせようと県が国と合意したのが3月4日「和解」の第9項です。判決主文、判決理由、またその後についてもこれに従う、という三つの、三重の拘束で、手を縛っておったわけです。この9項がはたらくには国地方係争処理委員会が沖縄県の審査申し立てに対して(国が県に埋立承認の取消の取り消しを求めた是正指示が)違法であるとか違法でないとかという判断を下した場合には5項又は6項にもとづいて、是正指示の取り消し訴訟を出すということになっていました。違法でないと判断した場合は5項、違法であると判断したのに国が委員会の勧告に応じた措置を取らないときは6項にもとづく訴訟となるが、この裁判が確定した場合は主文、判決理由、その後も、お互い協力し合うという三重の縛りをかけておりました。

ところが今回の違法確認訴訟というのは、沖縄県が5項又は6項に基づいて是正指示取り消し訴訟をする必要がなくなったので、国がやむなく違法確認訴訟を出したわけです。つまり、これは3月4日の和解条項5項又は6項に基づかないので、3月4日の和解とは無関係であり、この違法確認訴訟に9項ははたらかない。これが和解条項の裁判所や訴訟関係者における常識的な読み方なのです。国地方係争処理委員会が、国の是正指示を違法であるともないとも判断せず、協議をしなさいといった。だから県は是正指示取り消し訴訟は提訴しなかった。しかし昨日の、国に調教された裁判官は、安倍官邸の是正指示の効力は維持されているので沖縄県はこの是正指示取消訴訟を出すべきであったと、判決理由の中で言っている。それは和解9項をはたらかそうという悪知恵です。国の代理人は第1回弁論期日において、この訴訟は3月の和解条項に従って行われるものであると陳述し、また菅官房長官も記者会見で何度も「和解条項にしたがって」と言ったが、和解9項をかぶせよう(9項で県知事の以後の公有水面埋立法上の権限行使や承認撤回の主張を封じようとする)という意図だ。しかし和解9項は、5項又は6項にもとづく、沖縄県が出す是正取消訴訟についてのみ適用できるのである。沖縄が協議に期待して地方委員会の結論にしたがって協議をやるということで、是正指示取り消し訴訟の訴えを出さなかったことについて、この裁判官は、するべきだったと言って和解条項に全く反するようなことを判決理由中で言っているわけです。

 この裁判官が那覇に着任して1ヶ月ほど後に、成田の関係者から聞いたところでは、この裁判官は過去の裁判、成田空港に隣接した農地明け渡し訴訟について、証拠調べもせずに農民を追い出した。国と密通していたのか。農民側に寄り添うようなパフォーマンスを見せながら、はじめから結論ありきだったそうです。一番大事なことはこうです。前の代執行の訴訟、県が出した二つの訴訟、沖縄防衛局長の県に対する行政不服審査法に基づく審査請求及び執行停止申立は3月4日の和解条項第1項、第2項で全部取り下げられました。訴えが取り下げられたときは訴えが最初からなかったものとみなすという民事訴訟法の条文(民事訴訟法262条第1項「訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、はじめから係属していなかったものとみなす」)がある。したがって代執行訴訟でやった証拠調べとか主張は全部無効になる。すべてその効力を失う。だから、そこでの主張や証拠調べを前提にして今度の違法確認裁判を審理することはできないはずである。そこでの主張や証拠調べの結果を使うわけにはいかない。今度の判決は取り下げられた代執行裁判の無効となった主張や資料に基づく予断に基づく前代未聞の政治的判決だ。この裁判官は知事本人尋問の他の証拠調べはしなかった、予想通り。県が8人の証人申請をしたが全部却下。そのあと本人尋問と弁論の全趣旨で裁判の結論を出した。本来、本人尋問というのは他の証拠を調べてなお不足のあるときに補足的にやるのが原則。この本人尋問の前に、つまり8月19日の法廷の前に、この裁判官の訴訟指揮は、民事訴訟法第24条に規定する裁判の公正を妨げるべき事情があるから裁判官の忌避をすべきである、ということを新聞の「論壇」に書いた
のですが何の効果もなかった(県は私の助言を採用しなかった)。(参考資料:仲宗根勇 「多見谷寿郎裁判官を忌避すべきである」)

昨日(9月16日)、判決後の県知事の記者会見では、裁判官が当初「自分は東京を向いたことはない、東京に背を向けてきた人間だ」と言ったので、権力に左右されないでちゃんと判断する真摯な方だという印象を最初に持ち期待していたと、知事は言いますが、それは和解勧告文とともにはじめから騙しの手法の言葉であったわけです。有識者の中にもいかにも和解勧告文が和解条項と同様な法的効力を持つかのような誤解をしている者がいます。3月4日の和解勧告文についてですが、裁判所は、おべんちゃらを言った。オールジャパンで解決すべきとか、沖縄県知事の権限も大きいとか、国が勝ち続ける保証はないとか言いながら、和解条項の根本案と暫定案の二つの和解案を出したわけです。中立を装ったあの和解勧告文、和解直後に私が新聞(沖縄タイムス3月22日)で論じた通り、あれは沖縄県を和解に引きずりこむためのペテンであったわけですよ。そのペテンに唯々諾々と県は従い、裁判官に対する忌避申立てもせず、結審から判決までズルズル迎えてしまった結果、われわれが今、法的な弱さ、袋小路に追い込まれています。上告と言ったって、憲法に違反するとか、重大な訴訟手続違反とか、上告理由は狭い理由に限られている。その理由に当たらないとして、最高裁は三行半(三くだり半)を突き付けて終わることが多いのですよ。「憲法違反に当たらない、上告棄却」といった主文と理由で終わってしまう可能性があります。日本の裁判所は上級審に行けば行くほど下級になる。だから皆さん、最高裁に幻想をもってはいけない。

判決前のこの場での挨拶で、私は、この裁判は負けるはずだが、裁判を聞いてみんながっかりし、「嘆くなよ、臣下ヌチャー(皆さま)」と組踊風に言いましたが、この違法確認訴訟は、最高裁で判決が確定したって、確認訴訟の判決には執行力はありませんので、この訴訟の確定判決だけで辺野古工事の再開はできないのです。できないのに副知事との作業部会の、協議会(8月31日)で埋立本体の工事と、陸上分の米軍隊舎は別だから工事をさせてほしいというのを県は了解してしまっているわけですよ!それで安倍官邸は昨日の判決とは何の関係もないのにこれをテコにして辺野古の陸上工事を始めようとしているわけです。あいつらには理屈も憲法もなにもない。いまや暴力による国民の支配。(中略)

この裁判の後に国はおそらく取り下げた代執行訴訟、つまり翁長知事が(埋立承認取り消しを)取り消さないので国が替わって取り消しましょうという訴えを出すはずです。その訴訟で最高裁まで行って負けた場合は、国が翁長知事の承認取消を取り消して、仲井真知事の埋立承認が復活する。そうなると工事再開ができる。しかし、沖縄県にはまだ承認後の事情の変更、公益を問題にして、承認の撤回という、「取消」とは異なる別の法的手段が残っている。これをいつ行使するか、それが県の頭脳を集めるべきことです。つまり3月4日の和解第2項及び第8項で、裁判が確定するまで工事は中止するということになっているので、裁判を長引かせれば長引かせるほど中止の期間は長くなる。撤回の裁判で問題になるのはすでにやった工事量、国はこの違法確認訴訟の訴状の中で、すでに工事の契約金額のうち577億円を支払っていると主張しており、昨日の判決の理由にあったように思いますが、撤回となると、撤回の理由となった公益の内容や程度と、国がすでに撤回までに費やした既成事実との利益衡量、バランス論で撤回の裁判の勝敗が決まるのであり、だからこそ撤回までは工事中止を長引かせ工事量を増やさないことが必要なのですよ。

以下、Q&A。

乗松:仲宗根さんの話を聞いて一番驚いたのは、違法確認訴訟の確定判決(最高裁判決)で執行力は生じないということです。国がその後さらに代執行訴訟を起こして、それの確定判決が出て、国が勝訴し、国が県に代わって仲井真前知事の埋立承認の翁長知事による取消を取り消すという代執行を行って始めて、仲井真知事の埋立承認が復活し、工事ができる状態になると。新聞報道などを見てもそれを言っている人がほとんどいない。国は代執行訴訟もしなければいけないし、県は埋立承認撤回もこれからできる。その辺のタイミングは。

仲宗根:最高裁で確認訴訟が確定しても確認判決に執行力はありませんから、工事の再開は全く不可能です。ファシスト政権でもこれはできない。ただ、この確認判決についても和解条項第9項の適用があると強弁してくれば、確認判決で示した地理的優位性だの辺野古唯一論など証拠無しに事実認定した判決理由にも拘束力が生じてしまいます。9項適用の主張をするための見事な準備的主張が「この確認訴訟は和解条項に基づくものだ」と菅がいい、判決でも言っている。私がこの確認訴訟は和解条項とは関係ないものだという反論しているのはそれを封ずるためのものです。代執行訴訟は必ず提起されます。官邸が3月までには代執行訴訟も確定させるべく協議(蜜約?)を裁判所側としていることを推測させる報道もあります提起されるであろう代執行訴訟の第1回期日の冒頭で県が断固として、忌避申し立てをせず、9月16日の判決言渡直後に感謝された県代理人と県民をコケにした多見谷裁判長の裁判を再び受けるのであれば、もはや県とその弁護団の能力のみでなく、翁長知事の「あらゆる手段で阻止」の政治的真意が問われます。埋立承認撤回はその忌避申し立てと同時にすれば、衝撃力があるはずです

乗松: 仲宗根さんが「この確認訴訟は和解条項に基づく訴えの提起ではないから、もちろん和解条項第9項と関係ない」と主張されるし県もそのように言っている。しかし国と裁判所は和解条項がこの違法確認訴訟に適用するための主張や判決理由を書いています。一方で翁長知事は「判決に従う」と言っています。しかし仲宗根さんによると、違法確認訴訟の確定判決に翁長知事が「従った」場合でも、和解条項第9項の適用がない以上、代執行訴訟を国が起こして勝たなければ工事は再開できないということですね。

仲宗根:たしかに判決の説示も国の主張もこの確認訴訟が和解条項に基づくものだと言っています。和解9項につなげるための策謀です。翁長知事が反論せず従う場合は判決の効力としてではなく、政治的取引=談合による工事再開となるでしょう。そうなれば、代執行裁判はもちろん不要です。知事が確認訴訟の結果に従わず、政府と政治的談合もしないし、国が第9項適用を主張・強行しない場合には、国は必ず代執行の裁判を出さざるをえません。その時には再説したように裁判官忌避などあらゆる訴訟戦術が使えるのは当然です。

乗松:仲宗根さんのおっしゃる「翁長知事が反論せず従う場合は判決の効力としてではなく、政治的取引=談合による工事再開となるでしょう」という部分についてお訊ねします。裁判所は和解の効力がこの裁判(違法確認訴訟)に及ぶという判決を出しており、最高裁判決でもそれを覆さなかったとしたら、それは仲宗根さんのいう「9項につなげるための策謀」であったとしても、確定判決の一部になるものなのですよね。ということは、翁長知事が「判決に従う」ということは和解の効力がこの訴訟に及ぶということを翁長知事も認めるということになるのではないですか。そうであるとしたら、それなのに違法確認訴訟後代執行裁判せずに工事再開するとしたら、それが判決の効力としてではなく政府と県の談合の結果としてしかあり得ないというのがやはりわからないのです。どうかご説明をお願いします。

仲宗根:「確認判決の効力としての工事再開はありえない」ということです。再開できるとしたら、判決とは関係なしの政府と県の協議=取引によるしかありえません。確定した国勝訴の代執行判決によって翁長知事の承認取り消し処分を国が変わって取り消し、仲井真知事の承認行為を復活させなければ工事再開は法的には出来ないわけです。現在は翁長知事の承認取り消しの行政行為が生き続けている法的状況にあります。給付判決や形成判決と異なり、確認判決には執行力がないという原理からくる単純な話です。(民事裁判に以下3つの類型がある。給付判決とは、「支払え」「明け渡せ」など被告に対する給付命令が主文となるもの。形成判決とは、「夫・Aと妻Bは離婚する」のような、法律関係を変動させる形成力を生じさせるもの。確認判決は、「・・・を確認する」とする判決主文。給付・形成判決に執行力があり、従わない場合は強制執行ができる。確認判決に執行力は生じないから、確認判決に基づいて強制執行はできない。したがって、敗訴した確認判決に従わなくても強制執行はできない。

乗松:「給付判決」「形成判決」「確認判決」の違いを教えていただきありがとうございます。それでは和解9項が有効とされてもされなくても、翁長氏が従っても従わなくても、確認訴訟の確定判決だけでは執行力はなく、よって強制執行はできないし、国は代執行訴訟を提起し、勝訴しないかぎり法的に工事開始はできないということですね。しかし翁長氏と国が判決によってではなく政治的に話をつければ工事が再開できると。となると、確認訴訟の最高裁判決を受けて(県が負けた場合)、翁長氏が「判決に従う」ということで国が(執行力はないにもかかわらず)工事を再開してしまった場合「判決で負けたから工事が再開してしまった」という理解が県民に広がってしまうのではないでしょうか。国と県の協議が密室のままにされている今、両者が「談合」しているのかしていないのか、市民にはわかりようがないのです。ここに大変なリスクをはらんでいませんか。

仲宗根:まさに懸念はそこにあります。つまり、談合=知事の裏切りの結果の工事再開を、判決で負けたから、法治国家だから判決に従わざるをえないなどと、県と県の弁護団が逃げを打つ可能性があるわけです。それを事前に助けている識者の論にも、確認訴訟が最高裁で敗訴で確定したら、知事は埋立承認の取り消しを取り消し、工事再開されるというような間違った(あるいは意図的な)言説をするものがおり、マスコミもそのようなあきらかな間違い予想を書いたものが大部分です。

乗松:仲宗根さん、識者やマスコミが県にこのような逃げ道を敷くようなことがないようにしなければいけませんね。県が違法確認訴訟に敗訴した場合、「県は是正の指示に従って、承認取り消しを取り消すことになる」と書いている新聞もありますがこれは間違いなのですね。9月24日の報道によると、菅官房長官がこの最高裁判決により「国と県の対立が解消される」「引き続き和解の趣旨にもとづいて」というように、この裁判が最後の裁判になるかのごとく、また和解が有効であるかのごとく言っていますが、それに反論したりする記事も、違法確認訴訟だけでは執行力はなく、代執行訴訟をしなければいけないという風に主張している記事もありません。この違法確認訴訟が決定的な訴訟であるといった間違った理解があるとしたら県紙の中でそれを正していく言論展開が早急に必要です。

今までのお話をまとめていうと違法確認訴訟が確定してもその判決に執行力はなく、代執行訴訟で国が勝たなければ工事再開はできないということを県、県弁護団、識者、マスコミがしっかり認識し県民、国民に理解を広めることですね。さらに、仲宗根さんとして県知事に勧告するのは、本当に「あらゆる手段」で基地を阻止するのなら、違法確認訴訟のときにはしなかった裁判官忌避を代執行訴訟の冒頭で行うこと、そして同時に埋立承認撤回をすることですね。


(終)

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