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Thursday, December 31, 2009

Obama's Aid to Israel (and others) with Heavy Strings Attached

Hiroshima Peace Institute's Yuki Tanaka starts the new year with a criticism of the foreign aid law, which Obama signed before Christmas 2009, right after he received a Nobel Peace Prize. In this law Israel is required to spend 75% of the aid ($2.7 billion for 2010, and a total of $30 billion in the next 10 years) to purchase arms from the U.S.

田中利幸です。

正月早々、喜ばしくない情報について意見を述べさせていただきますが、日本のメディアではほとんど取り上げていないことなので、なにとぞ御海容のほど。

ノーベル平和賞授与の直後、クリスマス直前に、オバマ大統領が、巨額な「海外援助」予算案に署名しました。この「海外援助」は、しかし、最も貧困に喘いでいるアフリカ諸国や、世界銀行の「巨額債務国リスト」に載っているような国々に対するものではありません。

最大額の援助を受けるのはイスラエルで、今年、2010年1年間だけで27.7億ドル(ほぼ2600億円)、今後10年間の総額で300億ドル(2兆8千億円余り)という約束です。この援助には条件がついており、援助額の75パーセントをアメリカ生産の武器購入に当てなければならないというものです。言うまでもなく 、これらの武器は主としてパレスチナ人殺傷のために使われます。イスラエルがこの種の「援助」をアメリカから受けるのは今に始まったことではなく、長年続いていますが、オバマ政権の下で実際には増額されています。イスラエルに続く巨額の援助費を受けている国はエジプトで、17.5億ドルですが、これもその大部分がア メリカ生産の武器購入に当てなければならないという、いわゆる「紐付き援助」です。したがって、中近東で紛争のための「武器援助」を行っているのは、ノーベル平和賞を受けたオバマ大統領の政権です。

オバマ政権初年度である昨年のアメリカ政府の海外援助総額の17パーセントが、実は、「米国生産の武器購入」という条件付きの「紐付き援助」でした。

今年初めてアメリカ政府はパレスチナに「援助金」を交付しますが、その総額わずか5億ドル(45億円余り)のうち、5分の1(すなわち1億ドル)を「保安警備隊」の訓練に当てるということになっています。しかし、その訓練は、イスラエル政府の厳しい監督の下で行われなければならないことになっています。このような「 保安警備」プログラムが実際には全く意味をなさず、すぐに挫折するであろうこと目に見えて明らかです。

イラクとアフガニスタンへの「援助金」は、この海外援助予算からではなく、別枠の予算と防衛費から配布されています。2003年から2009年の間に、イラクには490億ドル(4兆5千億円近く)、アフガニスタンには260億ドル(2兆3千4百億円)という途方もない巨額のお金がつぎ込まれました。しかし、事態は全 く改善されていないどころか悪化していることは周知の通りです。(言うまでもなく、米派遣軍の活動費用はこれとはまた別です。)

2010年度のオバマ政権の「テロ対策予算」は、昨年度予算の10パーセント増で、500億ドル(4兆5千億円余り)です。この予算のうちから核保有国パキスタンに与えられる金額が最も増額され、今後5年間で3倍になる予定です。つい先日の飛行機テロ未遂事件で、ナイジェリア出身の犯人の背後に、イエメンのアルカイ ダ・グループが存在するという情報が流れていますが、そのイエメンに対してアメリカは、昨年、「経済開発ならびに安全対策」のための援助金として4000万ドルを提供しました。にもかかわらず、テロ未遂事件が起きました。今年度のためには、56パーセント増額の6300万ドルにしましたが、テロはテロ対策費の金額を 増やせば防げるという質のものでないことは、あらためて説明するまでもないことです。実は、昨年、イエメンが受けたテロ対策費は、上記の額の上に、ペンタゴンの「1206テロ対策予算」という特別予算から出ている6700万ドルがあります。飛行機テロ未遂事件で、イエメンに投入されるテロ対策予算は、おそらく近日中 に見直されて急増されるのではないかと思います。

こうした膨大な予算の使い方を一見するだけで、オバマ政権の政策が、実際にはブッシュ政権時代の「テロとの戦争」政策と本質的には変わっていないことが分かるはずです。金融危機にもかかわらず、これほど巨額の予算を文字通り湯水のように使い、にもかかわらずますます世界状況を悪化させている米国に対して、なぜ「米軍 再編事業」のために我々が納める税金を使わなければならないのでしょうか。まったく理不尽です。

確かにオバマはこれまで核軍縮ではひじょうに積極的な発言をしてきました。しかし、アメリカの核政策も、間もなく発表される「Nuclear Posture Review」の内容を見てみるまで楽観はできません。

彼の演説の「美辞麗句」にごまかされてはいけません。ノーベル平和賞を授与された直後に、上記のような内容の「援助予算案」に署名している事実を、そしてその事実がいったい何を意味しているのかを、もう一度考えてみようではありませんか。

寅年の今年も、私は批判の「叫び声」をあげ続けるつもりです(笑)!今年も、そんな私と忍耐でつきあっていただければ幸いです。

1 comment:

  1. Eiichiro Ochiai5:25 am

    私自身は、オバマさん
    については、選挙戦当時から懸念を表明していました
    (日刊ベリタ上)。それは、アメリカのエリートが、
    オバマが表明し多くの人が信じた、彼の言うところの
    「Changes we can」なるものを本当は行うことはないとい
    うことを知っていたのです。だから、あのように体制
    反対の変革を掲げながらエリート達の反対もなく、当
    選できたのです。エリートが反対すれば、エリート達
    は、予備選挙の段階であらゆる手段を使って彼を蹴落
    としていたでしょう。Kucinic氏が良い例です。その
    上、実はオバマ氏の選挙の裏側を暴露した文芸春秋の
    記事(2009年1月)によれば、「変革」をいわゆ
    るサクラを使って演出した様が読み取れます。その
    上、当選前に、「経済の新自由主義擁護」を表明して
    いるし、当選後は、防衛長官、財務長官その他の要職
    は、すべて体制側の人間を採用した。このような人間
    が、体制変革をするわけがない。イスラエルについて
    言えば、初期にはパレスチナ問題へ前向きな姿勢を見
    せるかに見えたが、大イスラエル擁護派のクリントン
    国務長官の影響か、ガザでの選挙による正当な政権で
    あるハマスを最初から相手にしていない。また、イス
    ラエルにしろ、エジプト、イエメンにしろどこにし
    ろ、アメリカの経済援助の大部分は、アメリカ企業へ
    還元される仕組みになっているーしかもその大部分は
    武器の供与という形で。援助の元である国民からの税
    が、回り回って軍需産業に吸収される仕組みである。
    これはアメリカに限らず多かれ少なかれ、いわゆる先
    進国の発展途上国への経済援助の仕方に見られる。そ
    の上、アメリカを含む欧米先進国が、世界の武器の
    80%を供給しているが現状である。また、イエメン
    は、(子供を含めて)国民一人あたり3丁弱ほどの武
    器を所有する恐ろしい国のようである。このような現
    状を、どうするか。

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