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Tuesday, November 18, 2014

親日家・元駐日英国大使ヒュー・コータッツィ「極右思想は日本の民主主義への脅威か」Hugh Cortazzi: Does right-wing extremism threaten Japan’s democracy?

英字新聞 The Japan Times に10月31日掲載された、ヒュー・コータッツィ氏の記事の翻訳を紹介する。コータッツィ氏は駐日英国大使を1980年から84年まで勤め、英国きっての日本通として知られる。日本語での著書には日英の間で―ヒュー・コータッツィ回顧録』(日本経済新聞社, 1998年)等がある。

Hughes Cortazzi

Does right-wing extremism threaten Japan’s democracy?

by Hugh Cortazzi
http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/10/31/commentary/japan-commentary/does-right-wing-extremism-threaten-japans-democracy/


極右思想は日本の民主主義への脅威か

ヒュー・コータッツィ

20141031 

 いかなる場所においても極端な国家主義は、民主的な制度と価値観に対する脅威である。日本で極右勢力の影響力が増していることに関する最近のイギリスにおける報道は、当地の親日家に深い憂慮をもたらした。
 
 総務大臣の高市早苗がアドルフ・ヒトラーを讃えた本に熱烈な推薦文を寄せていたことが1022日に報じられた。これについて発表された弁明と否認は矛盾し、説得力に欠けるものであった。 
 
 イギリスの閣僚がもしホロコーストを引き起こした犯罪者を支持すると取られかねないような発言をすれば、大衆から抗議が沸き起こって問題の閣僚は辞職させられることだろう。
 
 安倍晋三首相が4月に送ったとされる、有罪判決を受けた戦犯たちが「殉難者」だったという書面は、ここイギリスでは受け入れがたいものと見なされた。私は安倍が本当にこのような書面を出したのかを尋ねる書簡をロンドンの日本大使館に送った。第二次大戦中に日本帝国の軍人の手により多大な苦しみを受けた人を親類に持つイギリス国民にとって、このような声明は極めて感情を害するものであると私は書いた。私の書簡に返事は来なかったので、安倍は確かにそのように言明したと思うほか無い。 

 1018日には、NHKが英語放送の記者たちへの通達で、南京大虐殺と日本が使った「慰安婦」(性奴隷を表す婉曲表現)について、いかなる言及も禁止したと報じられた。[訳注:筆者が言及しているのは10月17日「タイムズ」紙の記事が取り上げているNHK内部文書だが、この文書は、南京大虐殺や慰安婦問題についての表現のし方を通達する中で一定の表現を禁止しているもので、そういった問題自体への言及を禁じてはいない。この『タイムズ』記事とNHK内部文書は後日当ブログで取り上げる。] 

 NHKはBBCに類似するものとされ、政治的に中立で客観的ということになっている。籾井勝人の指揮下において、NHKは日本政府の手先になってしまったように見える。中野晃一教授が「ますます中国中央電視台(中国国営放送)の鏡像のよう」と言ったようだが、その通りだと思う。 

 これまでのイギリスでの数々の報道を見ていると、安倍の右翼閣僚たちは、日本の戦時指導者たちを免罪する企てに学問的基盤を与えるために歴史を書き替えたがっているようだ。 

 西側諸国の歴史学者たちは、動かぬ証拠に基づき、日本の軍隊が南京のみならず中国の他の場所でも残虐行為を働いたことを確信している。中国の軍隊も、国民党と共産党の両方が、一般市民に対し犯罪行為を行ったこともまた事実だが、日本は侵略者だったのであり、中国側の行為は日本の最高司令部がとった意図的な圧政を正当化する言い訳にはならない。 

 日本の軍人たちは数多くの強姦を行っただけでなく、朝鮮人のみならず他の占領地の女性たちも強制的に性奴隷にしたことに、疑問の余地はない。 

 満州国で細菌戦を行った日本の731部隊の活動に関する事実はあまりに恐ろしいものなので、部隊の存在と人体実験の事実は隠蔽され、可能なら忘却される傾向にある。この「健忘症」は、少なくとも部分的にはアメリカの黙認によるものだった。アメリカの捜査官たちは日本の加害者を訴追しない引き替えに「実験」結果を受け取ったのだ。 

 シンガポールをはじめとする占領地における民間人の虐待(これでも控えめな言葉だが)は、故意に目をつぶる者を除いてはとても否定できるものではない。いくら歴史修正主義者でも連合国の捕虜がどれだけ虐待されたかまで正当化することはできない。 

 私は争いや反感をかき立てるためにこれらの事実を指摘するのではない。イギリスの親日家の多くと同じように、私は和解を強く信じ、日本とイギリス両国の個人や団体による相互理解のための努力と、戦争で行われた残虐行為が繰り返されることを確実に防ぐための努力を支持する。修正主義者たちはこれらの努力をいっそう困難にしてしまう。 

 日本の右翼国家主義者たちの目には、日本の軍事指導者たちが犯した唯一の罪は失敗したこと[訳註:戦争に負けたこと]なのだ。右翼たちは倫理原則を持たず民主的制度に反対している。 

 私は極右勢力が日本政府を乗っ取ることはできないと望み信じているが、国会の反対勢力は弱くかつ分裂している。 

 日本は一党政府に逆戻りしたように見える。これは独裁政治と人権侵害につながる恐れがある。

 日本のメディアは日本の民主的制度を支える主要な柱の一つであるはずだが、過激論者からの圧力にさらされている。201312月に国会で強行採決された特定秘密保護法は報道の自由に対する潜在的脅威である。民間テレビ放送局は暴力団に応援を求めかねない右翼の正体をあばいて闘うことに、ほとんど利益を見出していない。 

 右翼に反対する主要紙の一つが「慰安婦」問題をめぐり虚偽の証拠に基づいていたとしてさらし者にされたことは不幸なことである。たとえ一片の証拠に欠陥があったとしても、日本陸軍が占領地で行った性的搾取については他に十二分の証拠がある。 

 日本のメディアは「記者クラブ」制度のせいで極めて日本の支配層寄りであると海外では悪名が高い。この体制から恩恵を受けている者たちはこれを否定するが、たとえ日本のメディアが「従順な子猫」でないとしても、ある戦前史の研究によると、日本で健全な民主主義を保つのに必要である自由で率直な批判が、過激論者の脅迫で不可能になり得るという。 

 日本政府内で過激論者の影響が明らかに高まった結果、海外における日本のイメージと威信は傷ついている。修正主義者たちによる虚偽の歴史の宣伝を食い止め、日本の民主的な手続きが反民主的過激論者の個人や団体によって脅かされないようにすることは、ひじょうに日本の国益にかなうものになる。 

 私がこの記事を書くことにより、日本の右翼国家主義者たちは私を反日的と見なすであろう。しかしそれは間違いだ。私は日本文化を崇敬し愛好しているし、多くの良き日本人を友人に持って幸せに思っている。「Great Civilization of the World世界の偉大な文明」というシリーズの中で、私が長年かけて取り組んだ一冊の本は、『The Japanese Achievement日本の偉業』と題されている。この本の中で私は日本の歴史と文化の概説を試みた。私は偽善的なゴマすりよりも、歯に衣着せぬ友人でいたい。
 

ヒュー・コータッツィ19801984年に駐日イギリス大使を勤めた。
 
(翻訳:酒井泰幸 翻訳協力 乗松聡子 翻訳は投稿後微修正することがあります。)

Saturday, November 15, 2014

オリバー・ストーンとピーター・カズニックから沖縄の人々へのメッセージ A Message from Oliver Stone and Peter Kuznick to People of Okinawa

2013年夏沖縄に一緒に行った映画監督オリバー・ストーンとアメリカン大学歴史学教授ピーター・カズニックが沖縄知事選を控えて、沖縄の人々にメッセージを送りました。日本の平和団体の要請に応じたものでした。ここにメッセージと、日本語訳を紹介します。

Oliver Stone
 November 12, 2014

Governor Nakaima has betrayed his promises to the people of Okinawa. He sold you out to LDP leaders intent upon militarizing Japanese society, to U.S. leaders determined to maintain America's "empire of bases" regardless of the wishes of local populations, and to U.S. and Japanese corporate interests planning to benefit from fortifying Okinawa as an imperial outpost. Like David against a mighty Goliath, the people of Okinawa have struggled valiantly to resist this unjust incursion. You have captured the hearts of all those around the world who are fighting for social justice. If Onaga-san wins election on Sunday, he will need to use his power as Governor to cancel Nakaima’s reclamation approval. Anything less than that will be another betrayal to Okinawa. The people of Okinawa’s fight is our fight and our thoughts are with you at this critical moment.

Oliver Stone and Peter Kuznick

2014年11月12日

Peter Kuznick
仲井眞知事は沖縄の人々への約束を裏切りました。彼は、地元住民の反対意思にもかかわらず、日本社会の軍事化をたくらむ自民党の指導者たちと米国の「基地帝国」を何としても維持しようとする米国の指導者たち、そして沖縄を帝国の前哨基地として軍備強化することにより利権を得る米日の企業に、沖縄の人々を売り渡したのです。巨大なゴリアスを相手に闘うダビデのように、沖縄の人々はこの不正な侵略行為に抵抗してきています。沖縄の皆さんは、世界中で社会の正義のために闘う人々の心をとらえました。日曜の選挙で翁長氏が勝ったら、彼は県知事としての権限を使い仲井眞氏の埋め立て承認を取り消す必要があります。それより少しでも後退するようなことであればそれは沖縄への再びの裏切りとなるでしょう。沖縄の皆さんの闘いは私たちの闘いでもあります。この大事な時期、私たちの心は皆さんと共にあります。

オリバー・ストーン&ピーター・カズニック

(翻訳 乗松聡子)







"In No Way This is Something that Should Occur in a Democratic Society": Mayor Inamine to President Obama 稲嶺市長、オバマ大統領に辺野古基地建設断念を求める

Susumu Inamine, Mayor of Nago City, Okinawa, where US and Japanese governments are proceeding with preliminary work for construction of a new US Marine base despite over 70% of Okinawa opposing it, wrote a letter to US President Barack Obama, asking him to stop the construction 名護市における米海兵隊新基地建設に反対する稲嶺進名護市長がオバマ大統領に手紙を書いた。以下紹介する。




 
(参考)
琉球朝日放送  稲嶺名護市長、オバマ大統領に「辺野古中止」直訴
http://www.qab.co.jp/news/2014111159931.html 
 

Friday, November 14, 2014

Hayao MIYAZAKI calls for demilitarization of Okinawa 宮崎駿監督「沖縄の非武装化こそ、東アジアの平和のために必要です。」

Hayao Miyazaki
According to Okinawan newspaper Ryukyu Shimpo on November 13, internationally-acclaimed filmmaker and animator Hayao Miyazaki sent a message in support of the Okinawan movement to oppose the plan to construction of the new US Marine base at Henoko and to call for removal of twenty four MV-22 Osprey currently deployed at MCAS Futenma.

Miyazaki wrote:

"Demilitarization of Okinawa will be necessary for peace in East Asia."




日本語では琉球新報の報道を参照。

宮崎駿さん、新基地反対にメッセージ 2014年11月14日 
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234504-storytopic-271.html

Wednesday, November 05, 2014

村上春樹、毎日新聞によるインタビューで日本の「自己責任の回避」傾向へ苦言(海外メディアが注目!)Author Murakami Haruki Criticizes Japanese for Evading Responsibility for WWII and Fukushima

11月3日毎日新聞に掲載された作家・村上春樹氏の単独インタビューのことをAFP通信の英語記事(11月4日)で知り、日本人の戦争や福島の核事故についての「責任回避」について強調しているので注目した。AFP記事のタイトルは、
Murakami Haruki

Author Murakami chides Japan over WWII, Fukushima responsibility
作家のムラカミ、第二次大戦とフクシマへの責任について日本を注意

日本の英字新聞、The Japan Times にも AFP-JIJI 配信ということで

Murakami chides Japan for ignoring role in WWII, Fukushima disaster
ムラカミ、第二次大戦と福島の惨事における役割を無視していると日本に注意

と同様の見出しをつけている。

AFP記事は、
Japanese writer Haruki Murakami has chided his country for shirking responsibility for its World War II aggression and the Fukushima nuclear disaster in an interview published Monday.日本の作家、村上春樹は月曜に発表されたインタビューで、第二次世界大戦における侵略と福島の核惨事について責任回避している、と自国に対する注文をつけた。
で始まり、日本人が自分たちを戦争の『被害者』だと思っていること、それでは中国や韓国が日本の戦時侵略行為に対して恨みを持つのも当然である、日本人は自分たちが加害者でもあったことを忘れがちである、フクシマについても全員が地震と津波の被害者だということになって誰も責任を取っていないといった発言をしていたと知り、これこそ今日本人が耳を傾けるべきメッセージではないかと思い毎日新聞のウェブサイトで探したら、簡単な紹介が出ていた。

村上春樹さん:インタビュー 楽観を目指す姿勢「若者に伝えたい」
http://mainichi.jp/shimen/news/20141103ddm001040190000c.html

この紹介では最後に、「来年で70年となる『戦後』に関連し、慎重な表現ながらも、戦争と原発事故に共通する日本の問題として『自己責任の回避』を指摘した」とあるが、タイトルからして随分異なるイメージだなと思った。原文は紙面でしか見られないというので原文を取り寄せた。毎日新聞11月3日朝刊の8面に特集記事が出ており、本人の文学者としてのヒストリーや海外での評価などについて「『孤絶』超え 理想主義へ」という見出しがついており、ページの左側に別枠で「日本の問題は責任回避」というセクションが設けられていた。インタビュアーの「来年は戦後70年。作中で日本の戦争を描くこともあった作家は何を思うか」という問いに対し、
・・・僕は日本の抱える問題に、共通して「自己責任の回避」があると感じます。45年の終戦に関しても2011年の福島第1原発事故に関しても、誰も本当に責任を取っていない。そういう気がするんです。例えば、終戦後は結局、誰も悪くないということになってしまった。悪かったのは軍閥で、天皇もいいように利用され、国民もみんなだまされて、ひどい目に遭ったと。犠牲者に、被害者になってしまっています。それでは中国の人も、韓国・朝鮮の人も怒りますよね。日本人には自分たちが加害者でもあったという発想が基本的に希薄だし、その傾向はますます強くなっているように思います。原発の問題にしても、誰が加害者であるかということが真剣は追及されていない。もちろん加害者と被害者が入り乱れているということはあるんだけど、このままでいけば「地震と津波が最大の加害者で、あとはみんな被害者だった」みたいなことで収まってしまいかねない。戦争の時と同じように。それが一番心配なことです。
と答えている。毎日新聞は「慎重な表現」としているが私には「慎重」どころか非常に直截的な批判に聞こえる。特に、日本が戦争における加害者であったという発想が希薄であるという傾向が「ますます強くなっている」という部分に注目したい。昨今、朝日新聞の誤報訂正に便乗して日本軍「慰安婦」(性奴隷制度)の歴史自体を塗り替えてしまおうという動きが安倍首相をはじめとする政府、マスコミや一般社会に広範に見られるが、村上氏はこのような動きを念頭に置いてこの発言をしたのではないかと思う。

冒頭のAFP報道はシンガポールを代表する新聞 Strait Times など世界中に発信されており、世界中のメディアから村上氏の「日本の戦争責任回避」発言が注目されている。韓国の中央日報「村上春樹『日本、戦争を起こして責任回避』」の報道はヤフーニュースにも紹介されている。東亜日報は論説文「村上春樹と塩野七生」において、村上春樹の発言を評価し、同じくノーベル賞作家で、日本の加害責任を重視し安倍氏を「憲法への畏れを持たない珍しい人間」と非難した大江健三郎などともに、「過去へ回帰しないよう内部でバランスを取る良心の声がさらに大きくなることを希望する」と論じた。

インタビュー記事全体を見ても、世界的な作家の村上氏が今の日本に対し苦言を呈したという意味ではやはりこの発言の重要度は突出している。「慎重」になっているのは村上氏ではなくこのインタビューの要の部分を日本国内で抑えめに報じている毎日新聞そのものではないかと思う。@PeacePhilosophy